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こんばんは。
四国中央市の窪田歯科医院、窪田佑輔です。

以前の「インプラントは高い?」に続いて、今日は「インプラントは危ない?」についてです。
これは半分当たりで、半分はずれです。

インプラントは手術が必要な治療です。

出血、痛み、腫れを完全に避けることはできません。

これらについては時間の経過とともに治ってくるものでもありますから、「危ない」というのは少し違うと思います。

では「インプラントが危ない」というのは何を指しているのでしょう?



まず知ってもらいたいのは、インプラント手術は手術としては比較的簡単なものである、ということです。

歯茎を切開して、骨に穴を開けて…と聞くと尻込みしてしまいますが、
実は患者さんへの負担はそれほど大きくなく、術者側からしても決して難しい手技ではないのです。
もちろん適当にやっていいというわけではありません。丁寧な作業は必要です。

これより難しくて患者さんの負担が大きい治療なんて、いっぱいあります。

意外と親知らずやボロボロになった虫歯を抜歯する方が、大掛かりでタイヘンなぐらいです。

私の実感としてはやや難しめの抜歯、といったところでしょうか。(1本だけを入れる場合)

ただし、これは歯茎の条件がいい人に限られます。

条件の悪い人の場合は手術の難易度が上がってきて、「危ない」ところが出てきます。



話を戻しますと、具体的には、感染、神経麻痺(知覚異常)、異常出血、インプラントの迷入が挙げられます。


感染は術後に細菌が入って、インプラントがダメになってしまうことです。これはどんな手術の場合でもリスクはありますが、手術が難しくなれば当然リスクも上がってきます。


神経麻痺(知覚異常)ですが、これは下にインプラントを入れるときに気を付けることです。

下顎の骨の中には下歯槽神経という大きな神経が通っています。

下顎管
赤い矢印に沿ってみえる黒いスジがそうです。

手術の時にこの神経が近くて、傷つけたり、切ってしまったりするとしびれや感覚が鈍くなってしまう、というトラブルが起きることがあります。


次に異常出血ですが、これは大きな血管を傷つけた時に起こります。

お口の中にもいくつか大きな血管が走っています。その血管が少しずれて走っていたり、手術時の操作で傷つけてしまうと大きな出血になることがあります。


最後の迷入ですが、迷入とはインプラントが別のところに行ってしまうことです。

これは上の奥歯の場合に起きることがあります。

人間の鼻の横には上顎洞という空洞があります。蓄膿症で膿がたまるところ、といえばピンとくる方もいるかもしれません。

ここは上の奥歯に近いところでもあります。

骨も薄いことが多く、厚みを増やす処置を行ってからインプラントを入れることがあるのですが、固定する力が得られずにこの上顎洞に入り込んでしまうことがあるのです。



このようなトラブルにいろいろなウワサが絡んで「危ない」というイメージができているんだろうと思います。


ですから「インプラントは危ない」というのは半分は当たり、というわけです。


ではこれらのトラブルを少しでも起きないようにするには、どうすればよいのでしょう?


私は術前の検査、準備が一番だと思います。

普通のレントゲンは二次元でしか表現できません。

三次元での状態把握が大切なインプラントでは、情報不足です。

ですから、CTで三次元的な形を調べておく必要があります。

加えてCTのデータをもとにシミュレーションも行えますから、それで手術の際にどんな処置が必要か、難易度はどうか、トラブルは起きないだろうかといったイメージすることができます。

CT.png


しっかり事前準備をしておけば、トラブルの発生確率はぐっと下げられますし、難しいから手術をしない、という選択もできるようになります。

なにもインプラントだけが唯一の治療ではありません。場合によっては他の治療法にすることもあります。


インプラント手術は技術の進歩によって、タイヘンで危険な手術ではなくなってきました。

一方で絶対にトラブルが起こらないわけでもないのです。

そこに潜むリスクを正しく把握して、安全第一で行うことに尽きると思います。
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2017.01.30 Mon l インプラント l top