fc2ブログ
こんばんは。
四国中央市の窪田歯科医院、窪田佑輔です。

早いものでもう12月、今年もあと一カ月でおしまいです。

前回インプラント学会に行ってきたことを報告しましたが、

その流れでもう少しインプラントに踏み込んでみようと思います。
(注:結構長いです)
インプラントについて、私の今の考えを整理したいと思います。

歯を失ったところに関する治療は

インプラント以外にブリッジ、入れ歯があります。

インプラントVSブリッジ、インプラントVS義歯

という観点で治療法を比べてみようと思います。



まずはインプラントVSブリッジ

簡単に利点欠点を書き出すとこんな感じですね。


インプラント
○非常に長持ち(5年で95%以上)
○隣の歯を削らない
○周囲の歯に負担をかけない
△費用がかかる(30~40万円)
△期間がかかる(3か月~)
△外科的な処置が必要

ブリッジ
○保険で治療ができる(自費もOK)
○期間が短くて済む(最短2回)
△あまり長持ちしない(5~10年で50%)
×隣の歯を削らないといけない
×周囲の歯に負担がかかる


単純に治療法としてだけでみると

インプラントの方が優れていると思います。

それはブリッジの欠点である

×隣の歯を削らないといけない
×周囲の歯に負担がかかる


この2点によるところが大きいです。




例を上げると。。。

隣の歯の神経が残っている、特に手つかずの状態の場合


比較的若い方に多い状態かと思います。

このような場合だと少々患者さんに嫌がられても(笑)、インプラントを強く勧めると思います。

理由はブリッジの


「隣の歯を削らないといけない」

というデメリットがとても大きいからです。


どんなに虫歯のない健康な歯でも削ってかぶせ物をすることで、虫歯をはじめとしたトラブルのリスクが急激に高まります。

ブリッジが「あまり長持ちしない(5~10年で50%)」というのはここに起因します。

その時はもちろん再治療となりますが、再治療のたびに歯の状態は悪化していきます。

一説には歯は5回までしか治療できない、と言われています。

ブリッジにすることで健康だった隣の歯は

抜歯への道を一歩踏み出してしまうことになるのです

ブリッジはインプラントに比べると侵襲の少ない、安心な治療と思われがちですが、案外そうでもありません。

削ったものはもとに戻せません。

ブリッジは実は引き返せない、取り返しのつかない治療でもあるのです。
(←すごく重要!)


インプラントですが、お金と期間の問題を除けば、まだ取り返しのつく治療といえます。

万が一、インプラントがダメになったとしても、

再度インプラントの入れ直しができることがあるからです。

そうすればまた元の状態で噛むことが出来ます。

もう一回はインプラントができなくて、やむなくブリッジにすることもあるかもしれません。

ただその場合も歯を削る時期を後ろにずらすことが出来てますから、

残りの人生を考えた時、歯を守ることに役立っているはずです。

もともとインプラントの生存率はブリッジよりだいぶ高いので、

20年後30年後に大きな違いになってくるでしょう。




ちなみに「隣の歯を削らないといけない」というデメリットがない場合というのもあります。

それはすでに隣の歯をかぶせ物で治療している場合、です。

このような時だと、ブリッジのために新たに歯を削る必要はあまりありません。

多少形や向きをそろえるために削ることはあっても、

かぶせ物を外してやり替えるという程度の治療です。


この時に考えるべきは

「周囲の歯に負担がかかる」

ことについてでしょう。

ブリッジは3本の歯にかかる負荷を両隣2本が支える構想が一般的です。

力学的に強いものではないのです。

そもそもかぶせ物している歯というのは神経をとっていることが多いので、さらに強度的な不安が出てきます。

歯の根が割れたりぐらつきが出たりして、

抜歯になることも少なくありません。



特に厄介なのが、ブリッジは3本以上でつながっているため、まとめて抜歯になってしまい

一気に歯がなくなってしまう場合があることです。

この場合隣の歯に負担がかからないようにする、

という意味でインプラントが役にたってきます。

またインプラントと隣の歯はつながない、それぞれ独立しているため、

まとめて歯がなくなるということも防げます。




逆ににインプラントをあんまりおススメできないこともあります。

歯周病が進んでいたり、将来抜歯になるかもしれない歯が多数ある場合です。

将来あっちこっちでインプラントしないといけなくなります。

あんまり現実的ではないですよね
(もちろんそういった方もいますが…)

こういった場合、インプラントをあきらめたり、

できるところはブリッジにして

将来入れ歯になる場所にはインプラントをする、

という対応をすることもあります。


要は単純にインプラントがいいから誰しもやった方がいい、というわけではないってことです。

治療法として優れていることと、その人にとってベストな治療であることは別問題だからです。



インプラントvsブリッジで考えるとあてはまるのは若い方が多くなります。

その場合ネックは治療費と手間になるのではないでしょうか?


今回インプラントにすることの治療費と手間と

ブリッジにしたことで、将来周囲の歯がダメになった時に発生する治療費と手間では、

後者の方が断然大きくなることが多いです



「ブリッジでいいや」と安易に考える方がまだまだ多いですが、

本当は「ブリッジでいいや」で済む話ではありません。

実はブリッジにするって相当覚悟のいる決断だと思います。

将来まとめて歯がダメになっても仕方ないや、ってことですからね。


もちろんインプラントにするというのも、なかなか勇気のいる決断です。

どちらと選ぶにせよ、しっかり考えて選んでもらいたいものです。
関連記事
スポンサーサイト




2018.12.03 Mon l インプラント l top